心理学のとびら

心理学

はじめに

このコラムは、潜在意識・思考癖・防衛機制・トラウマ・インナーチャイルド・アダルトチルドレンなどの心理学のベースとなる言葉を抽出して、一般の方にもわかりやすいように書き上げました。

各章の終わりに、ポイントが書いてありますので、メモを取りながらお読みいただけると、学びが深まります。そして、最も大切なことは、自分の心に当てはめて気づきを見い出すことです。

 

悩みのメカニズム

私たち人間は、目の前に自分の思い通りの世界を実現しようとします。

それが、思うとおりにいかないと、ストレスが溜まります。

そして、心が苦しくなる。

それが、悩みというものです。

では、思い通りの世界を生み出そうとするエネルギーはどこから出てくるのでしょうか。

それは、あなたの無意識に刷り込まれた決めごとにあります。

「決めごと」とは、思い込みであり、その人なりの価値観であり、決めつけに近いものであり、先入観となるものであり、固定観念として定着しているものであり、偏見として身に付けているものであり、結果として独自の解釈となっているものです。

​例えば、カウンセラーは、こんな思考から決めごとを感じ取ります。

  • 人から何かされたら、必ずお返しをしなければならない。
  • 嘘は絶対にいけないことで、常に正直でいなければならない。
  • 生活するために一生懸命働かなければならない。
  • メッセージを送ったら、普通ならすぐに返信を返すはずだ。
  • 人の嫌がることは、私は絶対にしたくない。
  • 〇〇することが大嫌い。​

これらから、強い固定的な思考を見取れるのです。

人は誰もが潜在的に決めごとをもっている。

人間とコンピュータ

人の悩みは、コンピュータが誤動作を起こすことに例えると、具体的にイメージしやすいかと思います。

人間コンピュータ
記憶媒体HDD
思考媒体マイクロプロセッサ
動作を決定するもの決めごとプログラム
誤作動の元過度な感情バグ
結果不都合を起こす現実誤表示、誤動作、停止

コンピュータが、記憶装置に書き込まれているプログラムに従って動作するように、人は心にしまいこまれている決めごとに従って行動します。

決めごとにそぐわないことが起きたとき、あなたの感情がバグを起こし、思考のプログラムが誤作動します。

それによって起こした行動の結果が、悩みや苦しさになっているのです。

思考のバグによる誤作動の例

​生活の中の身近な例で例えてみましょう。

​ラインのメッセージがすぐに返ってこなかった友人を責める。➡メッセージの返信はすぐに返すべきだという決めごと
手伝ったのにお礼の一つもなかったので、もう二度と手伝わないと伝える。➡なにかしてもらったらお礼をいうべきだという決めごと
青信号ですぐに発車しなかったという理由でクラクションを鳴らした後続車に、文句を言う。➡相手を責め立てるべきではないという決めごと

すべて、何らかの感情が過度に働いた上で、思考のプログラム通りに起こした行動と言えます。

マイナス感情を放出することは、周りに敵を作り出し、あなたの人生に生きづらさをもたらすことになります。

決めごと→感情のバグ→自動思考→不都合を起こす行動→心の悩み
人の心の中には、長い間に形成された思考のプログラムが存在している。
思考のプログラムは、決めごとから行動への道筋で可視化できる。

コンピュータと人との決定的な違い

ただ、コンピュータにはない働きが、人にはあります。

コンピュータは、人為的に書き換えをしない限り、同じプログラムで動作し続けるのに対して、人は絶えず認知を繰り返し、自らの記憶装置に上書きしたり、書き換えをしたりしていることです。

人のすごさは、ここにあります。

つまり、自らの力で変容を成し遂げる可能性を持っていることなんです。

人として存在していることが、大きなエネルギーの証しでもあります。

人には自然治癒力と言うエネルギーが備わっている。

認知の方法

人は、長い人生の中で経験を積み重ねながら、物事をとらえる独自の方法を作り上げています。

​例えば、こんな時にどんな思いが湧き上がってきますか。

​「普段仲のいい友人にSNSで食事のお誘いをしたところ、一日たっても返事がありません。」
​自分は嫌われているかもしれない。
すぐに返信をくれないなんて、あまりにも非常識だ。
仕事が忙しくて、今は返信ができないのかもしれない。

このように、一つの事実に対して人それぞれの受け取り方があります。

このような「事実の受け取り方」を「認知」と呼んでいます。

ここで、大切なことは、認知のあり方で感情の湧き方が変わってくるということです。

では、それぞれどのような感情になるか予想してみましょう。

自分は嫌われているかもしれない。→不安・心配・悲しさ・寂しさ
即返信をしないなんて、相手は非常識だ!→不快・怒り・憤り
相手は仕事が忙しくて、今は返信ができないのかもしれない。→容認・安心・落着き

つらい、悲しい、さびしい、怒り、楽しい、嬉しい・・・人間には様々な感情がありますが、その感情に影響を与えているのは、認知の在り方です。

​目の前に映し出す風景は、自分だけのものです。他の人には、同じようには映らないのです。

​カウンセリングでは、感情と認知とを切り離し、自分の認知の在り方に気づいていただきながら、心の仕組みを正しく学んでいきます。

自分の認知を知り、そのスキーム(枠組み)を広げることが大切である。

​ マイナス感情を生み出すもと

まず、思考と行動について考えてみましょう。

人は生活経験から身に付けた「考えて行動する」ことを当たり前のように行います。ところが、この思考が行動に進むときについて回る存在があります。

それが感情です。

例えば、あなたがカフェで受けたウェイトレスの粗暴な振る舞いに対して、なんて失礼な態度だと憤慨したとします。

また、会社で部下があなたにきちんと挨拶をしないで通り過ぎたら、見下されたと感じて、その部下に対して嫌悪感を持ちます。

​では、このようなマイナス感情はその後どうなっていくのでしょうか。

​あなたの思考パターンによって、湧き上がった感情は、瞬時に相手を評価し、行動に発展していきます。

​上の場合だと、「給仕は客に対して丁寧にふるまうべきだ」というあなたの思考に照らして、あなたは瞬時に評価を下したといえます。また、「部下は上司に従順でなければならない。」というあなたの思考が、無礼な振る舞いをするやつだと評価を下したのです。

このように、人は知らず知らずして、周りに対して評価を下しているのです。これは、感情と連結されています。テレビを見ていたら嫌いな人が出演していたとか、他国で地震があったなどのニュースでは、感情が揺れ動くことはありません。それは、自分を脅かすほどのことではないからです。

でも、こと自分自身が被害を受けたと感じ、守りに入ったときに、自分の評価基準という物差しで評価を下すのです。

​評価自体は、自然な行為であり、それほど気にすることはありません。ただ、評価がマイナス感情から起こり、しかもそれが過大な場合には、相手に向けられる何らかの行動に発展することにもなり、最終的には自分が苦しさを抱えることになります。

こういう思考や行動傾向をお持ちの方は、辛い生き方を歩んでいくことになりかねません。


私の教師時代にあったことです。挨拶をしないある後輩に対して、初めは不快な感情を抱きました。しかし、彼があいさつをきちんとしない理由は何だろうと考え、彼の行動を観察しているうちに、じっと思考を巡らしているときには周りが見えなくなりやすいということがわかってきました。私は、それを理解することで自分自身の許せなさ(決めごと)を感じることができ、不快な感情も消えました。そして、彼の理解者として親身になって授業方法について指導しました。後年、私が教務主任になったとき、今度は彼が私の提案を支援してくれる力強い存在になりました。​


人間は、感情を持つ生き物です。その感情傾向を知っておくことは、大切なことです。自然に湧き上がるマイナス感情を意識するためにも、自分の傾向性をつかみましょう。

敏感すぎる

神経質で細かなことや人の言動を過度に気にする人は、取り込まなくてもよいものを取り込む機会を自ら作り出し、その結果としてマイナス感情を持ちやすくなります。気にすべきことと気にする必要のないものの振り分けをする見極め力を育む必要があります。

悲観的である

理由もなく物事をどんどん悪いほうに予測し、自ら不安のタネを作り出す傾向のある人は、マイナス感情を持ちやすく、またそれをふくらめやすい性質もあります。結果として「自分はついていない。」「自分は不幸である。」と思い込んでいる人が多く、まずはそれを払しょくすることが必要です。

過剰な期待をもっている

理想が高く、ものごとに対して高い期待を抱きやすい人は、現実の出来事に対してマイナス感情につながることが多くなりがちです。これが人に向けられると、過度な期待があだとなって、正常な人間関係を築く妨げにもなります。期待値をある程度下げ、ものごとを等身大にとらえるように努めましょう。

ネガティブな解釈をしがちである

ちょっとしたことで「ばかにされた。」「見下された。」と感じるなど、ネガティブな解釈がマイナス感情を生み出しているものです。相手の感じることは、自分が操作できる範囲外のものです。自分らしさを保つためにも、他人についての解釈にはポジティブな解釈を合わせ持つようなトレーニングをしましょう。

自分が無力だと思っている

苦手なことを避けようとしたり、人前で目立ちたくないなどと考えている人は、自ら問題への対策の幅を狭めてしまいます。こうしたことで、無力感を生み出し、マイナス感情につながっていきます。自分が持つ潜在能力に気づき、自信を深めることが大切です。

いいわけが先に立つ

問題に対して、「何をすべきか」はわかっていても、いいわけが先に立ち、実行を回避しようとするため、問題解決に進むことができず、その結果、無力感を感じてマイナス感情につながっていきます。いいわけは、自らを守るために行うものなので、その感情のはたらきを受け入れつつも、いいわけを先出ししない思考習慣を作ることが必要です。

ものごとに固執しすぎる

自分の育った環境や過去の失敗など、どう考えても解決がつかない問題に振り回され続けている人がいます。このような人は、これ以上考えても無駄だと頭の切り替えがなかなかできずに、マイナス感情がループすることが多いのです。自分自身の執着心を感じながら、諦めるとか別の思考に切り替えるというスイッチを働かせることが心を軽くする第一歩です。

性格診断「エゴグラム」

​性格診断については、エゴグラムがおすすめです。

厳しさ(CP)、優しさ(NP)、客観性(A)、素直な感情表現(FC)、協調性(AC)

ご自分の性格の傾向性を数値化して診断できるツールです。ぜひお試しください。

人の性格には、そもそもプラスもマイナスもありません。表裏一体、誰もが併せ持っているものですから。

自他に敵を作り出したり、生きづらくなるのが、マイナス感情と呼ばれているだけです。その反対に、周りに喜びや愛を与え、味方にしていくエネルギーをもつものが、プラス感情です。

そこに良いも悪いも、正しいも正しくないもないものとお考え下さい。

​いかにして生活に有効活用できるかを正しく理解して、身に付けていくことが重要課題と言えるでしょう。

ただし、マイナス感情はコントロールするすべを持つことです。

周りに放出すれば、相手に害を与えることになりますので。

​プラスとマイナスは表裏一体のものであって、マイナスがあればプラスも存在していると強く信じること。

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